補助記憶装置

補助記憶装置とは

外部記憶装置とはコンピュータ本体の外部に接続して、プログラムやデータなどを記録する装置のことです。ハードディスク、CD-R、CD-RW、書き込み型DVD、SSD、USBフラッシュメモリーなどがそれにあたります。コンピュータのメインメモリは、電源を切ってしまうと記憶されている情報を消失してしまいます。 そのため、プログラムやデータは電源を切っても記録が維持される外部記憶装置に保存しておき、必要に応じてメインメモリに読み込んで処理を行う必要があります。

ここでは、現在パソコンにはほぼ必ずといっていいくらい付属しているハードディスクとCD-R、CD-RWなどといった光学メディアについて説明していくことにします。

ハードディスク

ハードディスクとは

ハードディスクドライブ(Hard disk drive、HDD)は、磁性体を塗布した円盤を高速回転させ、磁気ヘッドを移動することで、情報の読み書きを行う補助記憶装置の一種です。(図5-1.)パソコンのハードディスクには、OSやアプリケーションソフトなどといったソフトがインストールされていたり、さまざまなファイルが保存されています。

ハードディスクには大きく分けて2.5インチのタイプと3.5インチのタイプがあります。前者が主にノートパソコン、後者が主にデスクトップパソコンに使われています。通常ハードディスクはパソコンなどの機器の中に内蔵されていますが、外付けのものや、ネットを介してアクセスするものなども存在します。

ハードディスクの構造

ハードディスクの内部には、1枚から数枚のディスクがあり、スピンドルモータおによって回転させながらデータの読み書きを行います。プラッターの両面に磁気ヘッドが取り付けられたスイングアームが取り付けられており、これによりプラッターに対するデータの書き込み・読み込みの処理を行います。

ハードディスクドライブがデータを記録する際の磁気ディスク上の位置情報は、トラックシリンダセクタによって決定されます。それらは、以下のような意味があります。(表5-1./図5-2.)

図5-1.ハードディスク 図5-2.ハードディスクの構造
表5-1.シリンダ・トラック・セクタ
名前 内容
トラック
(Track)
磁気ディスクを回転させたときに描かれる同心円状の領域のことです。
シリンダ
(Cylinder)
同じ位置にあるトラックの集合のことです。ヘッドを動かさずにアクセスできるトラックをひとまとめにしたものです。
セクタ
(Sector)
トラックを円の中心から放射状に分割した領域で、最小の記憶単位です。多くのパソコンは1セクタの記憶容量を512バイトに設定しています。

そのため、ハードディスクドライブの記憶容量は、次のように表されます。

ハードディスクの記憶容量
記憶容量=1トラックの記憶容量×1シリンダあたりのトラック数(磁気ヘッドの個数)×シリンダ数

フォーマット

ハードディスクは、使用するためにはフォーマット(format)と呼ばれる初期化処理を行います。フォーマットには物理フォーマット論理フォーマットがあります。前者はディスクにどのようにデータを並べるかを決める作業で、後者は物理フォーマットが終わった後で、OSが使用する管理用データや実際に記録されるデータの論理的な位置を設定する作業です。

論理フォーマットによってパーティションが作成され、ファイルシステムが利用する管理領域が作成されます。パーティションとは、和訳すると間仕切りという意味で、これにより、ハードディスクが物理的に1つしか搭載されていなくてもCドライブ、Dドライブのようにハードディスクがあたかも2つあるように見えるようにすることができます。

ただ、既存のハードディスクのフォーマットを行うと内部のデータがすべて消えてしまうので、十分注意が必要です。

FATとNTSC

Windowsパソコンのフォーマットの仕組みには、FATNTFSというファイルシステムが存在します。HDDをはじめとする記憶装置置(SSD,USBフラッシュメモリなど)に記録されているデータをOSが管理するためのシステムです。

FATはMS-DOS時代から使われている規格で、FAT16とFAT32の2つがあります。FAT32は総セクタ数を32ビットで管理します。仕様上4GB以上のファイルを扱うことができません。そこで、現在主に使われているのがNTFSです。Windows NT以降のOS(2000/XP以降)で利用することができます。ファイル容量も最大16TBまでのファイルを管理できます。

ハードディスクの注意点

コンピュータの故障の原因のなかで多いのが、ハードディスクの故障です。ハードディスクは構造的に衝撃に弱いため、強い衝撃を与えることがないように気をつけましょう。

また、データをフォーマットしてもハードディスクの中のデータを完全に消すことはできません。そのため、古いパソコンを廃棄する時には、ハードディスクのデータを完全に消去するためのツールでデータを完全に消すか、ハードディスクを取り出してディスクを破壊するなどといった処理をしなければ、情報が流通してしまう可能性があるので気をつけましょう。

光学ディスク

光学ディスクの種類

光学ディスクは、光ディスクとも呼ばれ、光学ドライブ装置(図5-3.)を使って光(半導体レーザー)の反射により情報を読み書きする情報媒体(電子媒体/ディスクメディア)です。様々な種類が存在しますが、CD(図5-4.)やDVD(図5-5.)、Blu-ray Disc(図5-6.)などが代表的な光ディスクです。パソコン用に使えるものでは以下のものが存在します。(表5-2.)光学ドライブ装置がどのメディアに対応しているかは、ドライブ前面に出ている対応するメディアのロゴを見ればわかるようになっています。

図5-3.光学ドライブ装置


表5-2.パソコンで用いられる光学ディスクの種類
名前 ロゴ 記憶容量 詳細
CD 700MB CDを使ったコンピュータ用の読み出し専用記憶装置です。音楽80分のデータ量に相当します。
DVD 4.7GB(片面1層)
8.5GB(片面2層)
9.4GB(両面各1層)
コンピュータ用ソフトウェアの配布や、映画など映像作品の配布に利用されます。現在パッケージソフトは主にDVDに記録されています。
Blue-ray/BD 25GB(片面1層)
50GB(片面2層)
DVDの後継となる青紫色半導体レーザーを用いた新世代の光ディスク規格です。一般的な略称は「BD(ビーディー)」。また単に「ブルーレイ」とも呼ばれます。

図5-4.CD 図5-5.DVD 図5-6.Blu-ray Disc

感覚的にはDVD一枚には、CDが7枚、Blue-ray一枚にはDVDが5枚ぐらいのデータがはいると思えばよいでしょう。(図5-7.)

図5-7.CD、DVD、Blue-rayの容量の比較

通常、容量の大きい光学ドライブは、小さいものをカバーできます。具体的には、DVD-ROMドライブならば、DVDおよびCDが読み出せます。逆にCD-ROM度ラブは、CD-ROMは読み出せても、DVDは読めません。

仕組みと特徴

は光学ドライブ装置を使い、光(半導体レーザー)の反射により、ディスクの表面にあるくピットと呼ばれるぼみに記録された情報を読み書きする仕組みになっています。情報は0/1のディジタル信号です、ピットはそれを表現する基本的な単位になっています。

ハードディスクと同様に、パソコンの電源が切られてもデータは消えません。また、持ち歩きしやすいのも特徴です。また、原則的に一度記録されたデータを変更することができません。また、アクセススピードもハードディスクに比べて遅いのが特徴です。

また、これらは使用用途などによって様々な企画に分かれているのが特徴です。以下、CDおよびDVDの規格を紹介します。

CDの規格

コンピュータで利用できるCD関連の規格には、以下のようなものがあります。(表5-3.)

表5-3.パソコン用のCDの規格
名前 詳細
CD-ROM 工場出荷時にデータが書き込みされて出荷させています。かつてはPCのアプリケーションソフトやゲーム専用機のゲームソフトの媒体はCD-ROMでした。
CD-R ユーザーがデータを書き込みすることができるメディアです。ただし、一度書いたデータは消せません。新しいデータは追加して書き込まれます。
CD-RW CD-Rと同様にユーザーがデータを書き込みすることができます。RWとは、(ReWritable)の略で、再度書き込みができるという意味であり、一度書いたデータを消すことができ、その上新たにデータを書き込むことができます。

すでに説明したとおり、CDは原則的に読み出し専用のメディアですが、例外的にCD-RWが読み書きが可能になります。

DVDの規格

コンピュータで利用できるDVD関連の規格には、以下のようなものがあります。CDに比べ、DVDのメディアには沢山の規格があります。(表5-4.)

表5-4.パソコン用のDVDの規格
名前 詳細
DVD-ROM CD-ROM同様に工場出荷時にすでにデータが書き込まれています。現在店頭で売られているパッケージソフトのほとんどがこのDVD-ROMに記録されています。
DVD-R CD-R同様、一度だけ書き込みができるメディアです。単価が安く互換性が高いのが特徴です。
DVD+R CD-Rとほぼ同じですが、互換性が高く、パソコン用のメディアとして最も普及しています。
DVD-RW CD-RWと同様にユーザーがデータを書き込みすることができます。一度書いたデータを消すことができ、その上新たにデータを書き込むことができます。
DVD+RW DVD-RWと同じ用途で使われていますが、パソコンでの普及が進んでいます。データの追加が可能で書き込みスピードが速いのが特徴です。
DVD-RAM RAMという名前のとおり、何度も読み書きを繰り返すことができます。ディスクがカートリッジに入っているものと、そうでないものがあります。 他の規格のDVDと互換性がなく、一般のDVDプレーヤーでは再生できません。

外部記憶装置とメモリ

外部記憶装置とメモリの関係

外部記憶装置は、あくまでもデータやプログラムなどを保存しておく記憶装置として、コンピュータの補助的な役割を行います。そのため、大容量のデータを扱うことはできますが、アクセススピードはメインメモリやCPU内部のキャッシュに比べれば、遅いのが特徴です。(図5-8.)

外部記憶装置に記憶されたデータやプログラムは、一旦メインメモリに読み込まれ、メインメモリに読み込まれたプログラムやデータは、CPU内のキャッシュに読み込まれて処理されます。このように、コンピュータは容量とスピードの違う記憶装置を階層的に使いわけることにより、ユーザーにとって使いやすい環境を実現しているのです。

図5-8.メモリの容量とスピードの比較