インターネットとは何か

身の回りにあるインターネット

ここからの7日間は、私たちの身の回りで当たり前のように使われているインターネットの仕組みについて学習していきます。スマートフォンやパソコンなどを通して、ウェブの閲覧や電子メールなどを利用できるインターネットですが、意外と私たちはそのしくみを知りません。そこで、ここではインターネットの基本的な仕組みから、その成り立ちから、そしてその未来について学習していくことにします。

インターネットとは何か

インターネットとは、世界中にあるコンピュータの小規模なネットワークの集合体が互いにつながることにより、世界規模でのネットワークのことを指します。インターネットの頭のインター(inter)という言葉はは中、~の間、相互、などといった意味がいがある言葉で、複数のネットワークが相互につながって巨大なネットワークを構成しているという意味合いと言えます。

インターネットでは、ネットワークに接続しているあるコンピュータから、別のコンピュータの間にあるいくつもの中継地点を経由してデータのやりとりをしています。つまり、小さなネットワークが相互に協力し合い、さながらバケツリレーのようにしてデータを運ぶ仕組みになっているのです。

インターネットの成り立ちと歴史

ARPAネット

では、そもそもインターネットは、どのようにして出来上がったのでしょうか?インターネットの原型である、ARPANET(アーパネット)(図1-1.)が開発されたのは1969年のアメリカでした。ARPAとは、Advanced Research Project Agencyの略で、アメリカ国防総省高等研究計画局の略です。そこで開発されたことにより、この名前が付けられました。そう、もともとインターネットとは、軍事技術だったのです。

図1-1.ARPAネット(1974年)

当時世界は、アメリカを中心とする西側諸国と、ソビエト連邦を中心とする東側諸国に分かれ、冷戦(れいせん)と呼ばれる対立状態にあり、いつ核戦争が起こってもおかしくない、と人々が考えているような状況でした。そこでアメリカ軍は、ソビエトとの間に戦争が起きて、通信のネットワークが寸断されても、色々な経路を経由して通信をおこなえるようにする技術としてこのARPANETを開発したのです。

ARPANETでは、通信データをパケットと呼ばれる細かいデータに分割して、送受信を行うという仕組みを確立させ、この考え方が現在のインターネットに引き継がれています。

軍事技術から民生技術へ

1983年に、APRANETは軍事用のMILNETと、一般市民や研究者が利用するARPANETに改めて分割され、大学や研究機関、企業などでりようされるようになりました。これにより、軍事用の技術が民生用に利用され始めました。

さらに1986年になると、全米科学財団(NSF)が、全米5か所に分かれているスーパーコンピュータ同士を高速なネットワークでつなぎました。これを、NSFNETと呼びますが、後に様々なコンピュータがこのネットワークに接続されるようになり、現在のインターネットにまで発展してきたのです。日本では1993年にインターネットの商用サービスが開始され、95年にマイクロソフトがWindows95を発売すると同時に爆発的に普及し、今に至ります。

インターネットのデータ伝送方式

インターネット通信の特徴

では、具体的にインターネットがデータをやりとりする仕組みを具体的に見ていきましょう。すでに説明したとおり、インターネットの起源は戦時下でネットワークが寸断されても全体のネットワークが機能するARPANETでした。このシステムの根幹をなすのは、データを細切れにして送るパケット通信と呼ばれる方法と、通信路が途切れていた際に、別の路を見つけるルーティングと呼ばれるものです。

パケット通信

パケットに分割されたデータは、それぞれのデータに送信元のアドレスと送信先のアドレス、そして元のデータの中での順番が書かれた、ヘッダと呼ばれる情報がついています。パケットが荷物ならば、ヘッダは言わば荷札のようなものです。

パケットを受信した側は、ヘッダに書かれた情報をもとにばらばらになったデータを順番に再構成することにより、送信元が送ったものと同じデータを得ることができるのです。

ルーティング

パケットを宛先に届ける際に、一つのルートを選択することを経路選択(けいろせんたく)と言います。ルーティングを行う装置のことを、ルーターと言います。特に障害がない場合、ルーターは一つの経路でデータの送受信が行いますが、万が一この経路に障害が発生した場合は、ネットワークでつながっているルータ間で相互に連携を取り、別のルートを探し、通信を続行します。これがインターネットの大きな特徴です。

インターネットのサービス

WWW

現在、このようなインターネットを利用したサービスは非常に多種多様です。その中でもっともポピュラーなものが、WWW(World Wide Web:ワールド・ワイド・ウェブ/W3C)です。正式名称よりも「Web(ウェブ)」という言葉のほうが現在はなじみが深いサービスで、ウェブブラウザでいわゆる「ホームページ」を閲覧するというサービです。

WWWでは、ホームページをURL(Uniform Resource Locators)というアドレスで表します。ページはHTMLという言語で記述され、ページ間は互いにリンクでつながれており、互いに行き来が可能です。インターネットのサービスとしては最もポピュラーで、人によっては、「インターネット=ウェブ」と思っている人も少なくありません。

その他のサービス

その他のサービスでは、電子メール(e-mail)が有名ですが、その他にも、TELNETFTPなどのサービスがあります。