GPU

GPUとは何か

近年のパソコンやスマートフォン、ゲーム機などには、グラフィックスの処理を行うGPU(Graphics Processor Unit)と呼ばれる半導体が内蔵されています。(図5-1.)パソコンのGPUは、ハイエンドのデスクトップパソコンの場合、グラフィックボードと呼ばれるカードの中心部になっています。(図5-2.)それ以外では、マザーボードに組み込まれているケースがほとんどです。

GPUは現在、世界で主流のものは2種類あり、nVidia()社のGeForce(ジーフォース)というシリーズと、AMD(エーエムディー)社のRadeon(ラディオン)があります。

第4日目で説明したとおり、3DCGをはじめとするグラフィックスの処理には高速で大量の計算を必要とします。GPUの役割は、CPUのかわりにこういった計算をおこない、画像を出力することです。

図5-1.GPU図5-2.グラフィックボード

GPUの仕組み

レンダリングパイプライン

前述のとおり、GPUは主に3DCGの処理の機能に強みがあります。GPUにおいて、3DCGの処理は、レンダリングパイプラインと呼ばれる仕組みの中で処理されています。

レンダリングパイプラインは、三次元のモデルをピクセル単位の画像に落とし込む頂点パイプラインと、それを最終的に画像として出力するピクセルパイプラインから構成されます。GPUでは、これら処理をハードウェア上で行うため、高速なリアルタイム描画が必要なコンピュータゲームなどができるようになっているのです。(図5-3.)

図5-3.レンダリングパイプライン

ハードウェアの仕組み

VRAM

グラフィックボードには、通常ビデオメモリもしくは、VRAMと呼ばれるメモリがあります。(図5-4.)ビデオメモリとは、これはGPUが処理するための情報を一時保存するメモリで、ゲームなどでは高解像度設定で精密度を上げるとビデオメモリを多く必要とします。

つまり、ビデオメモリの容量が大きいほうが、高速で高精細の画像の処理を行うことがで可能になります。

図5-4.VRAM

冷却ファンとヒートシンク

GPUが演算処理を行うと、熱が発生します。そして、高性能なGPUほど高い熱を持つ傾向にあります。そのため、グラフィックボードには通常この熱を冷ます仕組みが存在します。それが、冷却ファンヒートシンクです。

冷却ファンとは、LSIを冷ますための小型の扇風機で、GPUはこのファンで空気を送り込むことにより、熱を冷まします。冷却ファンの冷却機能は強力ですが、モーターの回転音が大きく

また、ローエンドのGPUはファンを用いるほどの発熱をしないので、熱伝導率の高いアルミでできたヒートシンクを用いて、空気に触れる表面積を広くすることにより熱を下げます。ローエンドのGPUはパワーも発熱も低いのでヒートシンクが採用されています。ヒートシンクの利点は、ファンと違い風切音がない点にあり、静音性に優れている点です。

GPUとCPU

GPGPU

GPUは3Dグラフィックスや2Dグラフィックスのレンダリングを行うのが主な目的として使われていますが、大量の計算を並行して行えることから、それ以外でも様々な領域で利用されます。このように、GPUを本来の目的以外の使い方をすることを、GPGPU(General Purpose computing on GPUs)と言います。

もともとは、GPUを目的外利用していたのが始まりでしたが、近年ではGPUメーカーもGPGPUを意識し、GPUの設計をGPGPUにより適した構造に改良したり、支援するソフトウェアを提供したりして、用途の開拓に積極的になっています。

GPUとCPUの違い

CPUとGPUの大きな違いは、CPUが2~3個のコアから成るのに対して、GPUは複数のタスクに同時に対応できるよう設計された何千ものより小さいコアで構成されている点にあります。そのため同じような計算を同時に、大量に行う際にはGPUを、複雑な分岐を伴う処理はCPUで行うといったような役割分担がなされています。