各装置の役割
CPU
表1-2.に記したとおり、5大装置の制御装置と演算装置の役割を兼ねているのが、CPUです。CPUは、言わばコンピューターの心臓部と言えるでしょう。
自動車のエンジンの性能が、搭載しているトルクの数により、4気筒、6気筒などと分類されるように、一度に処理できるデータの単位により、8ビット、16ビット、32ビット、そして現在主流の現在では64ビットといった具合に分類されます。この数が大きければ、大きいほど、コンピュータが一度に処理できる計算の量が多いため、処理スピードが速くなる傾向があります。(表2-1.図2-1.)
かつては、CPUはこのビット数をアップさせることにより、性能をアップさせてきましたが、近年では、一つのCPUに該当する「コア」と呼ばれる単位の処理装置を1つのCPUに複数搭載するスタイルが主流になりつつあります。
いうなれば、従来のタイプのCPUがコンピュータに複数搭載されているようなものです。その数により、DualCore(コア2つ)やQuadCore(コア4つ)、さらにそのCPUを複数搭載するマシンが開発されています。
つい最近までは、Intel社、またはその互換のCPUの独占状態でしたが、近年では、タブレットPCやスマートフォンの普及により、ARMなどそれ以外の規格のものも普及しつつあります。
表2-1.インテルのCPUの発展の歴史発表年次 | CPU | ビット数 | クロック周波数 |
---|---|---|---|
1982 | 80286 | 16bit | 6MHz / 8MHz / 12MHz |
1992 | i486Dx2 | 32bit | 50MHz / 66MHz |
2000 | Pentium4 | 32bit | 1.3GHz以上 |
2009 | Core i3 i5 i7/ 64bit | 64bit | 2.66GHz |
メモリ
コンピュータにおける、主記憶装置の役割を果たしているのが、メモリと呼ばれるものです。大きく分けて、RAM(Random Access Memory)とROM(Read Only Memory)に分類できます。RAMはランダムにアクセスできる、つまり読み書きが可能なメモリーという意味で、主記憶装置やキャッシュメモリーに使用されます。また、記憶内容を保持するためには、電源供給が必要です。RAMの中にはDRAM(Dynamic RAM)(図2-2.)とSRAM(Static RAM)があります。
一方、ROMは書き込み不可能、一度書きこまれているデータを読み出すことしかできないメモリーのことを言います。RAMとは違い、コンピュータの電源を切っても内容が消去されることはありません。
ただ、、近年ではフラッシュメモリという「書き換えが可能なROM」が使われています。USBメモリはSDカード、さらにはハードディスクに該当する処理を行うSSDなどがそれで、パソコンのデータ持ち歩きや携帯電話、デジタルカメラなどにも使えます。
入力装置
入力装置は主記憶装置にデータを投入する機器です。キーボード(図2-3.)、マウス(図2-4.)などが主な機器です。キーボードにはキーの個数から109キーボードとか101キーボードなどといった種類があります。マウスはディスプレイ上の位置情報を送り出す機器です。GUI環境ではよく使用される機器です。
ゲームで使うジョイスティック、スマートフォンやタブレットPCについているタッチパネル、画像情報を取り込むスキャナも入力装置の一種です。
図2-3.キーボード |
図2-4.マウス |
出力装置
音声を出力するスピーカー、印字装置のプリンター、画像を出力するディスプレイ(図2-5.)などが出力装置です。ディスプレイは画面の大きさによって区分けされます。かつては横縦比が4:3だったのですが、近年はワイド画面が多くなり分類が複雑になってきています。
コンピュータの画像は、ピクセルもしくはドットという細かな点によって構成されており、その縦横の数によって、ディスプレイのサイズの規格は、以下のように分類されています。(表2-2.)
表2-2.ディスプレイの大きさの分類規格 | サイズ |
---|---|
VGA | 640ドット×480ドット |
SVGA | 800ドット×600ドット |
XGA | 1024ドット×768ドット |
SXGA | 1280ドット×1024ドット |
UXGA | 1600ドット×1200ドット |
補助記憶装置
現在、実用的なコンピュータシステムには、このほかに、補助記憶装置(ほじょきおくそうち)と呼ばれるものがついているのが普通です。補助記憶装置は、主記憶装置に入りきらない情報を一時的に退避する装置で、データやプログラムを保存します。パソコンや据置型ゲーム機に内蔵されているCD/DVDドライブ(図2-6.)ハードディスク(図2-7.)や、USBメモリ(図2-8.)などがこれにあたります。
図2-6.CD/DVDドライブ |
図2-7.ハードディスク |
図2-8.USBメモリ |
周辺機器とUSB
周辺機器
パソコンやゲーム機などのコンピュータ本体には、この外に様々な機器を接続することができます。例えば、ゲームのコントローラー(図2-9.)や、ビデオカメラ(図2-10.)、マイクや携帯型のデジタル音楽プレイヤー、外付けの大型スピーカーなどといったものです。このように、コンピュータ本体に付随される外付けの機器のことを、一般に周辺機器(しゅうへんきき)と言います。
周辺機器もまた、五大装置のいずれか、もしくはその複数に属するものがほとんどです。例えば、ゲームコントローラーやビデオカメラは入力装置であり、スピーカーは出力装置となります。
図2-9.ゲームパッド |
図2-10.ビデオカメラ |
USB
そういった周辺機器は現在ほとんどの場合、USB(ユーエスビー)コネクタと呼ばれるコネクタでコンピュータ本体に接続されるケースがほとんどです。USBはユニバーサル・シリアル・バス(英語: Universal Serial Bus)の略で、コンピュータの情報機器に周辺機器との間でデータをやりとりする機器を接続するための規格です。(図2-11./図2-12.)
かつては、コンピュータとこれら周辺機器を接続するための規格はたくさんあり、周辺機器の種類によって異なっていました。しかし、現在は多くの場合このUSBによって統一されています。
図2-11.USB① |
図2-12.USB② |
コンピュータ関連の単位
ビットとバイト
ここで、メモリの容量や、CPUのクロック数など、コンピュータの性能を評価する数値に必要な単位について紹介しましょう。
コンピュータは、デジタルによって情報を扱うため、基本的に、「1」と「0」でしか情報を表現することができません。この、「0」か、「1」のどちらかしか表現しえない情報の形式のことを、ビットと呼びます。(図2-13.)
このビットが8つあつまった単位のことを、バイトと呼びます。(図2-13.)バイトとは2の8乗、つまり256種類の情報を取り扱うことが可能で、これが基本的にコンピュータでメモリなどの情報量を扱う単位として使われています。
図2-13.ビットとバイト大容量の単位
さらに、コンピュータのメモリーの記憶容量を表す単位として「MB(メガバイト)」とか「GB(ギガバイト)」という表記が使われますが、この先頭についている「M(メガ)」と、あ「G(ギガ)」といった単位は、ビットの情報量を表すものです。
日常生活でよく使われている、「Kg」や「Km」の「K」は1000(10の3乗)を表しますが、コンピューターの世界では2進数で計算することが基本なので、「K」は2の10乗、つまり1024を表します。したがって、「1Kバイト」というと、1024バイトを指す単位になります。
このように、バイトの補助単位は、「K」→「M」→「G」→「T」→「P」の順で大きくなり、「m」→「μ」→「n」→「p」の順で小さくなります。変化の単位は、10の3乗づつになっています。(表2-3.参照)
表2-3.数値の桁数を表す際に用いられる補助単位(2進数)補助単位 | 呼称 | 10進形式 | 2進形式 |
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P | ペタ | 1015 = 1000兆 | 250 = 1,125,899,906,842,624 |
T | テラ | 1012 = 1兆 | 240 = 1,099,511,627,776 |
G | ギガ | 109 = 10億 | 230 = 1,073,741,824 |
M | メガ | 106 = 1,000,000 | 220 = 1,048,576 |
k | キロ | 103 = 1,000 | 210 = 1,024 |
m | ミリ | 10-3 = 1/1000 | |
μ | マイクロ | 10-6 = 1 / 百万 | |
n | ナノ | 10-9 = 1 / 10億 | |
p | ピコ | 10-12 = 1 / 1兆 |