ネットワーク
ネットワークとは
ネットワークとは、英語で「網」とか「網状のもの」、「網状組織」を意味する言葉です。鉄道網や、道路網などといった交通関連の状態をネットワークという言葉で表現したり、放送網もまたネットワークです。
コンピュータでのネットワークの場合、コンピューターとコンピューターが結びついて情報をやりとりできるつながりのことを示します。コンピュータのネットワークを利用することにより、以下のようなことが可能になります。
- ウェブサイトの閲覧
- 電子メールのやりとり
- ファイルやデータなどの共有
ここでは、こういったコンピュータのネットワークの仕組みについて説明していきます。
LANとインターネット
LAN
LANとはLocal Area Networkの略で、ある程度の小さな規模で用いられたコンピュータネットワークのことです。同一の建物の中にあるコンピューターやプリンターなどを接続しデータをやり取りするネットワークのことを指します。LANを導入する事によってファイルの共有、プリンターの共有、インターネット環境の共有などができます。LANのタイプとしては、大きく分けて、以下の2つのものが存在します。(表7-1.)
表7-1.LANの種類種類 | 説明 |
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クライアント・サーバー型 | ネットを集中的に管理するサーバーと呼ばれるコンピューターとそれを利用する複数のクライアント と呼ばれるコンピューターで構成されるネットワーク。 サーバーと呼ばれるコンピューターのOSには、WindowsサーバーやLinux、などがよく利用されます。 |
ピアツーピア型 | すべてのコンピューターが対等な関係にあるネットワークの形。 |
一般に、LANとしてりようされるのは、クライアント・サーバー型が多いため、以下そちらを前提に説明していきます。
LANの構成
続いて、LANはがどのような機器で構成されているのか説明します。LANは、ノードとリンクと呼ばれるもので構成されています。
ノードとは、通信を行う機器のことをいいます。パソコンなどのコンピューター、データ中継を行うルーターといわれる機器やデータの分岐を行うハブといわれる機器などから構成されています。
リンクとは、ノードとノードを結ぶ回線のことをいいます。特に物理的なケーブルのことをLANケーブルといいます。また、LANケーブルの材質は、光ファイバーを使ったものが主流です。LANケーブルの他には、電波(無線)を使ったリンク方式があり、こちらは無線LANと呼ばれています。
インターネットの機器
インターネットのノードをつなぐ機器には、以下のようなものがあります。
(1) NICNetwork Interface Cardの略で、NICとも言います。コンピュータ本体をネットワークにつなぐためのものです。ネットワークにつなげるためのケーブルを差し込む差し込み口があり、物理的に結合できるように設計されています。(図7-1.)
無線LANの場合の無線モジュールのNICの一種です。無線(電波)を利用するため、有線のNICのようなつなぎ口はありません。
LANケーブルとは、ノードとノードを結ぶ有線ケーブルをいいます。(図7-2.)コンピュータとルーター、ハブなどをネットワークでつなぎます。
「ハブ」と読みます。、ノードとノードを中継する機器をいいます。(図7-3.)このときに、複数の回線を集約し、必要な回線にのみデータを送出するなど処理を行います。これをスイッチングハブといいます。
ルーターもノードを中継する機器です。(図7-4.)こちらは、データの行き先を決定する機能を持っています。これをルーティングといいます。一般に、LANの大本には必ずルーターが必要とされます。ルーターにより、内部のネットワークと、外部のネットワークが接続されています。
LANのトポロジー
次に、LANでのネットワークのつなぎ方を見ていきましょう。LANのつなぎ方のことをトポロジーをいいます。トポロジーは大きく4つに分類されます。(表7-2.)それでは、順番に見ていきましょう。
表7-2.LANのトポロジー名前 | 説明 |
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バス型 | バスと呼ばれる基本線を中心に、そのバスに向かって各ノードが接続する形態をいいます。 ノードとノードは必ずバスを通してデータのやりとりを行います。初期のLANでよく用いられていたほか、 ビル内部でのLANで階をまたぐ場合などに用いられています。(図7-5.) |
リング型 | リング状になるような配線を行う形状をいいます。一カ所が切断されてしまっても、データをやりとりできる利点があります。現在はあまり利用されていません。(図7-6.) |
スター型 | スハブを中心に複数のノードが接続された形状をいいます。現在もっとも一般的な接続方法です。(図7-7.) |
ピアツーピア型 | 2つのノードが一本の線で結ばれた形状をいいます。(図7-8.) |
図7-5.バス型 | 図7-6.リング型 |
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図7-7.スター型 | 図7-8.ピアツーピア型 |
WANとインターネット
WANとはWide Area Networkの略で、LANより広い範囲(県外や国外など)に及ぶネットワークのことです。点在するLANとLANを接続する線としてのネットワークというような意味合いでも使われています。
WAN同士を、世界中で結んだものがインターネットです。インターネットとは、ネットワーク同士をつないだもので、巨大なWANやLANがインターネットであると言えます。
通信プロトコルとOSI参照モデル
パケット
ここまで説明してきたネットの構造はあくまでも物理側のものです。しかし、実際にネットで通信を行うためには、これだけでは不十分です。コンピュータのネットワークでの通信での、最も基本となる単位は、パケットと呼ばれるもので行われています。
パケットは、「小包」という意味の英語で、データを細かく区切ったものです。1パケットごとにデータ量は128バイトになります。インターネットでデータの送受信を送る場合、データはこのパケットに分割されて送受信されます。(図7-10.)
文字でいうと半角英数字1文字が1バイト、漢字は2バイトなので、1パケットにつき半角英数字なら128文字、日本語であれば約64文字送信できます。
IPプロトコル
しかし、データをパケットに分割しただけではデータのやりとりはできません。パケットを送り届けるためには、パケットの送り先を指定する必要があります。その役割を果たすのが、IPプロトコルと呼ばれるものです。
プロトコルとは規約のことで、送信したいデータを、パケットという単位で指定されたIPアドレスのコンピューターに対して届けるための規約のことが、IPプロトコルです。
IPアドレス
IPプロトコルで、送り先の住所にあたるものが、「IPヘッダ」と呼ばれる送信先コンピューターの情報の記述された送り状のようなものが追加されます。そこに記述されているアドレスのことを、IPアドレスと言います。
IPアドレスとは、インターネットやLANなどTCP/IPプロトコルに準拠した形のネットワークに接続している各装置(コンピューターやプリンターなど)に割り振られたネットワークにおける識別番号のことです。
IPV4という企画とIPV6という企画があり、一般に広く用いられているのがIPV4ですが、これでは32ビットの数値でネットワーク上のアドレスを表しています。(図7-11.)
TCPプロトコル
TCP(Transmission Control Protocol)とは、IPの上位プロトコルとして位置され、相手装置に対する送信手順の管理、データ到着の確認、データ送信失敗時の再送管理などの処理を行うためのプロトコルです。
IPプロトコルとセットで用いられるため、セットで、TCP/IPと呼ばれます。
OSI参照モデル
このように、コンピュータのネットワークは、電気や光などの物理的なレベルや、パケット、プロトコルなどの抽象的なレベルまで、複数の階層の取り決めによって構成されていることがわかります。そこで、このレベルを7つに分けて定義したのが、OSIの7階層モデルです。
これを、OSI参照モデルと言います。(表7-3.)
表7-3.OSI参照モデル層 | 名前 | 説明 |
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第1層 | 物理層 | コンピューターとコンピューターをつなげるためのケーブのコネクタの形状や、0と1とを取り決める電圧などといった。物理的特性や電圧のルールなどの取り決めです。 |
第2層 | データリンク層 | ネットワークを流れるデータの形などの取り決めです。エラーが発生したときに、修復する手段もこの層で規定します。 |
第3層 | ネットワーク層 | LANとLANを接続する通信方法を規定します。ネットワークの経路や中継作業の規定です。ネットワーク内のコンピューター同士でデータのやりとりを行う場合は、中継するコンピューターは、データをどのコンピューターに送ればいいのかを判断します。IPプロトコルがつかわれるのがこの層です。 |
第4層 | トランスポート層 | ネットワーク層でネットワークは複数のLANと接続していることを前提に設定されていますが、あたかも一つのLAN内でのデータのやりとりであるかのように見せているのがこの層の働きです。TCPプロトコルがつかわれるのがこの層です。 |
第5層 | セッション層 | セッション(データの通信開始から通信終了まで)の手順を規定します。 |
第6層 | プレゼンテーション層 | セッションでやり取りされているデータの表現方法(データの変換方式や圧縮方法など)について規定します。 |
第7層 | アプリケーション層 | 実際に利用したいアプリケーション、例えばメールやホームページなど(これをサービスといいます)を制御するのがこのアプリケーション層です。ネットワークで使用するアプリケーションアプリケーション間におけるデータのやり取りを規定します。 |