デジタルとアナログ

デジタルとは

コンピュータについて説明する前に、まずはデジタルアナログの違いについて説明していくことにします。まず、アナログは連続した量(例えば時間)を他の連続した量(例えば角度)で表示することを指します。例えば温度や時間の概念がそれにあたります。(図1-1.)

それに対し、データを数値化するにあたり、整数値(digit)で表現することをデジタルと言います。(図1-2.)コンピュータは、2進数(0と1だけ)で表現するため、デジタルな装置であるということができます。

図1-1.アナログ図1-2.デジタル

コンピュータの集積回路

論理回路

コンピュータは電子機器の一つですが、その基本は論理回路(ろんりかいろ)と呼ばれる回路によって構成されています。これは論理演算を行う電気回路及び電子回路で、 真理値の「真」と「偽」、あるいは二進法の「0」と「1」を、電圧の強弱で表現します。これによりAND,OR,NOTといった論理演算が実現されます。

現在コンピュータは、この論理回路を大量に集積させて作られています。そのような回路を構成する基本要素のことを、素子(そし)と言います。素子は、以下のような変化を遂げてきました。(表1-1.)さらに、使われる素子の種類によって、第一世代から第四世代にまで分類されます。現在使われているコンピュータは、第四世代に分類されます。

表1-1:コンピュータを構成する素子の種類
世代 名前 写真 内容
第一世代 真空管 最初のコンピュータは真空管を使って作られました。いまのパーソナルコンピュータに比べてはるかに非力なコンピュータを作っても、ビルぐらいの大きさを必要としました。
真空管の欠点は大きすぎることと、寿命が短いことでした。そのため、真空管で作ったコンピュータの性能にはおのずと限界がありました。
第二世代 トランジスタ トランジスタの出現によってコンピュータはかなり小型化されました。しかしそれでも個人が使えるれレベルのものには程遠いものでした。
第三世代 IC ICとは、Integrated Circuit(集積回路)の略です。トランジスタ、抵抗、コンデンサ、ダイオードなどの素子を集めて基板の上に装着し、各種の機能を持たせた電子回路がICです。ICの出現によりコンピュータはさらに小型化されました。
第四世代 LSI Large-Scale Integration(大規模集積回路)の略です。素子数が1000を超え、ICよりもより集積度を上げたものがLSIです。現在のコンピュータのメモリやCPUは、このLSIです。

ハードウェアの仕組み

コンピュータの内部構造

コンピュータはマザーボードと呼ばれる基盤の上にある多くのLSIなどの回路によって構成されています。それらは、バスと呼ばれる電気信号の経路で結びつけられています。現在のコンピュータは、チップセットと呼ばれるLSIによって、CPU、メモリ、ディスプレイなど、様々な回路や機器によって結びつけられています。(図1-3./図1-4.)

図1-3.コンピュータの内部構造

図1-4.マザーボード

チップセットの役割

チップセットは複数の半導体チップ(LSI)で成り立つ集積回路で、マザーボードに接続されている機器(CPU、メモリ、グラフィックボード、LAN)のデータの受け渡しを管理している個所です。通常、チップセットはマザーボードに搭載されており、チップセットの性能が高いほど、コンピュータの性能も上がってくるということになります。

チップセットには様々な種類がありますが、通常CPUを開発したメーカーが、CPUとセットで発売しているケースがほとんどです。

PCIスロット

バスによってチップセットにより接続されているのは、CPUやメモリばかりではありません。

コンピュータのほとんどの拡張カードはPCI(Peripheral Component Interconnect:ペリフェラル コンポーネント インターコネクト)スロットおよび、その後継規格であるPCI Expressと呼ばれるスロットに装着して使用するよう設計されています。

PCI EXPRESSにはx1、x4、x8、x16などの種類があり、このうち最も高速な転送速度を持つ x16はグラフィックボードの接続に使用されています。

ディスプレイとグラフィックボード

ディスプレイとマザーボードの接続は複数あり、AGPと呼ばれる規格によるものと、PCI EXPRESSにはx16によるものがあります。現在は高速処理ができる後者のほうが標準的です。

グラフィックカードとは、ディスプレイモニターに映像を映し出すためのチップである、GPU(Graphics Processing Unit:グラフィックス プロセッシング ユニット)が搭載されたボードのことです。(図1-5.)

GPUの役割は、3Dグラフィックスの表示に必要な計算処理を行う半導体チップで、コンピュータのグラフィックスの表示のスピードやクオリティの高さはこのGPUの性能に左右されます。

図1-5.グラフィックボード

パソコンが起動する仕組み

パソコンの起動

続いて、がどのようにして起動するかを見てみましょう。Windowsパソコンを例に挙げますが、基本的には他のOSでも流れは一緒です。またスマートフォンやゲーム機などといったコンピュータの起動の流れも多少の違いはあっても基本的には変わりません。

(1) BIOSの起動(電源が入った時)

コンピュータの電源をONにするとCPUやメモリなどが起動し、それと連動して、BIOS(Basic Input Output System:バイオス)と呼ばれるフラッシュメモリに記録されている起動プログラムがメモリに読み込まれ、起動されます。(図1-6.)

図1-6.BIOS

これにより、グラフィックカードを初期化し、メモリ、ハードディスク、DVD-ROMドライブ、キーボード、マウスなどといった基本的な機器に異常がないかをチェックします。以上があれば、ビープ音と呼ばれる音を出して警告を出し、起動が中断されます。

(2) OSの起動①(IPLの呼び出し)

BIOSの起動が無事に終わると、続いてハードディスク内に記録されているIPL(Initial Program Loader:イニシャルプログラムローダ))と呼ばれるプログラムをメモリに読み出し起動します。

IPLは、記憶装置からOSを読み込んでメモリに展開し、起動する役目を果たします。IPLはブート・ストラップ・ローダーとも呼ばれています。

(3) OSの起動②(カーネルの起動)

続いてWindowsのカーネルと呼ばれるプログラムがハードディスクからメモリに展開され、実行されます。カーネルとは、OSの中核的なプログラムで、これにより画面にウィンドウズのロゴが出現します。

さらに、ハードディスク上にあるデバイスドライバ(略してドライバ)と呼ばれるファイルが呼び出されます。ドライバは、ディスプレイやプリンタなどの周辺機器を動かすためのプログラムのことで、これをメモリに読み込むことによりコンピュータが使用可能になります。

(4) ログオン

以上の処理が終わると、ユーザーログオン画面が出現し、ここにユーザーIDとパスワードを入力すると、OSが使用可能になります。ログオンと同時にウィルス対策ソフトなど、さまざんな常駐プログラムが起動され、ユーザーがパソコンを使用可能な状態になります。

パソコンのシャットダウン

パソコンの電源を落とす場合は、いきなり電源スイッチを押してはいけません。電源を落とす際には、シャットダウンと呼ばれる処理が必要になります。シャットダウンとは、計算機を停止するという意味の言葉です。

軌道によりメモリ上に記録されているOSのデータは、様々な処理を常時行うことによりハードディスク上にあるOSのデータと差異が生じるようになります。通常メモリはパソコンの電源を切ってしまうとデータが消えてしまうことから、パソコンの操作を終了させる際、こういったメモリ上に存在しているデータはハードディスクに保存する必要があります。

この一連の処理を行う作業がシャットダウンです。もしこの処理を行わないでいきなりパソコンの電源を切ってしまうと、このデータの食い違いがもとで、最悪の場合はOSが起動しなくなります