ネットワーク

ネットワーク関連のハード

パソコン、スマートフォンを問わず現在のコンピュータは、ネットワークの知識なしには成り立ちません。そこでここではネットワーク関連のハードウェアとその関連項目の知識について説明します。ネットワークには大きく分けて有線と無線のものがありますが、ユーザーはそれを意識せずに使い分けることができます。

イーサネット

イーサネットとは何か

現在のコンピュータのネットワークは、正式にはEthernet (イーサネット)と呼ばれる規格が採用されています。これは、ゼロックス社とDEC社が考案したLAN規格です。現在用いられているNICはこのイーサネットに対応しています。

現在のネットワークは有線ネットワークと無線のネットワークがありますが、ここではまず有線ネットワークについて説明します。

イーサネットの転送速度

イーサネットのネットワークのスピードは、最高100Mbpsで通信が可能なLANの規格である100BASE-Tが標準的です。対応機器は、前の自大の評う順で、10MBpsの10BASE-Tと互換性のあるものが多く、1つのネットワークに混在させることができます。

ここで用いられている「Mbps」は、「メガ・ビーピーエス」と読み、データの転送速度を表す単位として用いられます。「Mbps」は「MegaBit per Second」の略で、1秒間に何メガビットのデータを転送できるかを表す単位です。つまり、100Mbpsは最大1秒間に100メガビットの情報を伝えられることを意味します。

さらに、最近では1000Mbpsのスピードに対応している1000BASE-Tも普及してきています。この規格は通称ギガビットイーサなどと呼ばれています。

ネットワークのケーブル

このようなイーサネットケーブル(図6-1.)は、現在カテゴリー5(ファイブ)と呼ばれる規格のものが主流です。このケーブルは、100Mbpsまでのネットワークのスピードに対応しています。それに対し、1000Mbpsに対応したものは、カテゴリー6などと呼ばれています。

これらのネットワークケーブルは形状は同じです。基本的にネットワークのスピードが早くても、ケーブルがそのスピードに対応していなければ、ネットワークはフルの性能を出すことはできません。具体的には、1000Mbps対応のNICがあっても、ケーブルがカテゴリー5であれば、最大100Mbpsまでしかスピードを出せません。以上をまとめると、表6-1.のようになります。

図6-1.イーサネットのケーブル

表6-1.イーサネットの規格とケーブルの種類
規格 ケーブルの規格 最大転送速度
10BASE-T カテゴリ3 10Mbps
100BASE-T カテゴリ5 100Mbps
1000BASE-T カテゴリ6 1000Mbps

かつてのインターネットは主にメールなどの情報が主で、画像も低解像度の静止画がほとんどであったことから、10BASE-Tで十分でしたが、現在は高解像度の動画なども転送されることから、より高速なネットワークが求められるようになっています。

無線ネットワーク

無線LANの仕組み

無線LANの仕組みも、有線のものと基本的にかわりません。無線LANルータ(図6-2.)によって、複数の機器が外部のネットワークと接続されています。無線LANを使用すると、ケーブルによってつなぐ必要がないため、デスク周りや床がすっきりします。また、電波が届くところであれば、ネットワークが利用できるようになります。

無線LANは主にノートパソコンやタブレット、携帯型ゲーム機や情報家電などで利用されていますが、それ以外でも最近では無線LANを登載した機器も非常に増えており、プリンタ複合機も無線LANによって接続できるモデルが普通になっています。

図6-2.無線LANルータ

周波数帯

無線LANの周波数帯は「2.4GHz帯」「5GHz帯」があり、それぞれ長短があります。(表6-2.)「2.4GHz帯」は、さまざまな機器で利用されている上に、電子レンジなどにも利用されているため、電波同士がぶつかって通信に影響を与える可能性があります。

それに対し、5GHz帯は、電子レンジや無線LAN同士の干渉を受けにくく、特に通信の安定性が必要とされる映像配信サービスなどに適していると言われています。そのため、インターネット対応テレビをネットに接続するなら、「5GHz帯」が良いと言われています。

表6-2.無線LANの周波数帯とメリット・デメリット
帯域2.4GHz帯5GHz帯
メリット最も普及しているため、互換性が高い。干渉する家電がないため、安定している。
デメリット電子レンジや他の無線LAN同士の干渉しやすくしばしば無線LANが不安定になる。古いものと互換性を保つためには、2.4/5GHz両方に対応させる必要があるため、機器がその割高になる。

チャンネル

無線LANでは、複数の機器が同時に通信できるように周波数帯域が分割されています。その分割した周波数帯域をチャンネルと呼びます。無線LAN機器を使う場合、電波の届く範囲にある他の機器とチャンネルを分けることにより、混信が防げます。

たとえば、電波の届く隣家で同じ周波数帯の無線ネットワークが使われていたとします。その時、もしも自宅の無線LAN機器が1 チャンネルに設定されていれば、隣家でも同じ1チャンネルを使っていることにより、電波が干渉してしまい、つながりにくくなったり、通信速度が低下したり、といったことが起こります。そのような場合は、このチャンネルを変えればこの問題を解決することができます。

無線LANの規格

まずは、無線LANの規格について説明します。現在の無線LANの規格は、IEEE802.11と呼ばれるものです。有線のものの場合と同様に、周波数の帯域や特長の違いから11n(イレブンエヌ)11a(イレブンエー)11g(イレブンジー)11b(イレブンビー)の4つの規格が利用されています。それぞれの規格の概要は、以下のようになっています。(表6-3.)

表6-3.無線LANの規格
規格IEEE802.11bIEEE802.11aIEEE802.11gIEEE802.11n
周波数帯域2.4GHz帯5GHz帯2.4GHz帯2.4 / 5 GHz帯
利用可能チャンネル14191313 / 19
最大伝送速度11Mbps54Mbps54Mbps600Mbps
特徴 スピードが遅く、電波干渉にも弱い。 電波干渉に強く、ホームネットワーク環境に最適。 対応機器が多いのが特徴。情報家電、パソコン、ゲーム機などを同時に接続できる。11bと互換性がある。 最新の規格で、スピードが速い。ハイビジョンコンテンツや光回線で高速インターネットに対応。2.4GHz対応なら11b、gと5GHz対応なら11aと互換性あり。

WiFi

無線LANの規格として、現在主流になっているものが、WiFi(ワイファイ)です。(図6-3.)これはWi-Fi Alliance(米国に本拠を置く業界団体)という団体によって、国際標準規格であるIEEE 802.11規格を使用したデバイス間の相互接続が認められたことを示す名称です。

無線LANが商品化された当初は、同一メーカーであってもラインナップの異なる製品間では相互接続は保証されていませんでした。そこで、購入検討にあたり実際に接続可能かどうかユーザーにわかりづらいという問題があり、統一するブランドが必要となり作られたものです。

したがって、現在は、ほぼ無線LANイコールWiFiと考えてよいでしょう。

図6-3.WiFiのロゴ

無線LANの暗号化

有線と無線のLANの最大の違いは、有線ネットワークが、ケーブルをつながなければ利用することが出来ないのに対し、無線LANは対応した機器があれば、無制限にネットワークを利用できてしまう点にあります。そのため、ネットワークに接続し電波の届く範囲内であれば、悪意のあるものが勝手に接続し、通信を盗聴する危険性があります。

そのような問題を回避するために、WiFiの無線通信は原則的に暗号化されています。無線LANを利用するさいには、対応するルータを利用するために、ネットワークキーと呼ばれるキーを入力し、それによって接続の認証を行います。

WiFiスポット

店舗や公共の空間などで無線LANによるインターネット接続が可能な場所のことを、WiFiスポットと呼びます。また、そのような場所を提供するサービスを「公衆無線LANサービス」「無線LANスポットサービス」などと呼びます。

無線LAN機能を持ったノートPCやスマートフォン、携帯ゲーム機などで利用が可能です。街中や旅先で通信料金を気にせず高速なネット接続をすることが可能です。また、特に無料でできるものをFREESPOTと言います。

モバイルルータ

無線ネットワークに関して忘れてはならないのが、近年普及が進んでいるモバイルルータでしょう。モバイルルーターとは、その名の通り持ち運びができるルーターです。モバイルルータを用いれば、外出先でもノートパソコンやタブレットでインターネットに接続することが可能です。

モバイルルーターを使用している主なサービスは、Wimax(ワイマックス)LTE(エルティーイー)です。Wimaxは、無線LANの規格の一つで、Wi-Fiよりも広いエリアで、高速通信が可能です。LTEは おもに携帯電話会社によって行われているサービスで、携帯電話と同じネットワークを用いてインターネットに接続します。